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September 23, 2012

少年は残酷な弓を射る

少年は残酷な弓を射る

全編、恐怖と緊張感に貫かれて
息苦しくて仕方がなかった。
見ていて幸せになるものでは決して無いけれど
数日間うなされそうなインパクトがあるという意味では
凄まじい表現力を持った映画だといえる。

冒険家で作家のエヴァは、ケヴィンを妊娠したことによって
(世の母親と同じように)多くのことを諦めることになる。
そんなエヴァの気持ちを見透かすかのように
ケヴィンはエヴァだけに激しく反抗し、執拗に嫌がらせを続け、
16歳になる直前に、彼女のすべてを破壊し尽くすような事件を起こす。

ケヴィンの常軌を逸した振る舞いや表情に
こんな子供が自分の身内だったらどうすればいいのだろう、という思いに駆られ
身を斬られるような息苦しさに苛まれる。

なんでこんなことに・・・?
こんな恐ろしいことが、「私」には降りかからないという保証が欲しい。

ケヴィンが生まれながらにしての性格異常者だから。
そう片付けてしまえば簡単だ。
しかし、そんなことでは片付けられるのであれば
この映画はここまで恐怖を感じさせるものになっていないだろう。

ケヴィンが生まれたことを「心から」喜べないような
母親の愛情の不足が息子に伝わったから。
終始エヴァの視点で描かれているため、
この映画にはその自省の念が溢れている。
いや、「自省」というのは少し違うかもしれない。
私のせいなのか、私のせいなのかもしれない、でも・・・
エヴァの思いからはいつも「but」が抜け切れない。

確かに、完璧な母親ではなかったかもしれない。
だけど、こんな悲惨なことになるほど、ひどい母親でもなかった。

確かに一点の曇りもない愛情は注げなかった。
だけど、そんな母親は他にもいっぱいいるはずだ。

それは、外から見ていても正当であると思える。
しかし、それだけに、ここに描かれた悲劇が「特別」でないように思われてくる。
それが、恐怖の中心だ。

エヴァはずっとどうすればよかったのか自問し続ける。
しかし、その答えは堂々巡りで見えない。
正論を言うばかりで、エヴァの違和感を無視してことをすすめる夫との関係も
一つの要因だ。
仕事をしてた時のほうが幸せだと思ってしまう自分の気持ちのやるせなさも
それを見透かすかのように母が壁紙にした地図を汚すケヴィンの振る舞いも
多くのことがからみ合ってのこの不幸を、
断ち切れる気がしない絶望感に苛まれるだけだ。

ケヴィンの凶器となった、そして邦題にある「弓」も、また示唆的だ。
幼い時に病気になった時、急に素直になり母に甘えたケヴィンに
エヴァが読み聞かせた『ロビンフッド』に出てきた弓。
翌日、元気になるといつもの陰険さを取り戻すが、
弓への興味はさめず、父親に弓のセットを買ってもらって、
喜んで遊ぶのである。

病気の時だけ正気に戻る、というこの逆転(もむろんエヴァの視点だが)も
その唯一の正気が残したものが「弓」であったというエピソードも
噛み締めるとぞっとする。
そして何よりも、ラストのケヴィンの
「やった時は、理由がわかってる気がしていたけど、
 (2年たった)今はわからなくなった」ということば。
その表情は、あまりに儚げで、普通の少年なのだ。
恐ろしい目の光と、不気味なまでのもの食う姿を晒していた
あの凶悪な少年と同一人物とは思えないほどに。

赤という色の持つパワーで幕をあけ、
その色の煽る恐怖と凶悪さを見せつけて、
最後は真っ白いスクリーンが浮かび上がった。
赤と白のように割り切れないものが、
ふたつの色の強烈な印象で逆に浮かび上げられた。
そんな映画だった。

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音吐朗朗〜最近聴く音楽〜

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  • 沖縄ラーメンズライヴ
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