演劇集団キャラメルボックス『バイバイブラックバード』〜ネタバレバリバリ〜 #caramelbox
歩んできた人生の一部を失ってしまったとしたら?
16歳からの記憶が消えてしまったら?
その間に出会った人たちは人生から消えてしまう。
そうなったら…もしかすると一番大切な人のことさえ失ってしまうかもしれないのだ。
しかも、失ったことさえ気付かないのだ。
自分が生きてきた人生。
それは紛れもなく自分自身のものなのに、
誰かに改ざんされても気付きさえしないのである。
そうなってしまったら、重ねてきた時間は無駄になってしまうのだろうか?
本当に何も残らないのであろうか?消えてしまうのだろうか?
高校1年のクラスに集う
ぽっかりと空いてしまったそんな心の穴を抱えた5人。
実年齢に開きがあるため、みた目はバラバラだが、
彼らは正真正銘16歳のクラスメイトだ。
実年齢が一番上の47歳である安西は、
人気の洋食店を切り盛りするシェフだった。
しかし三十年の記憶を無くし、16歳に戻った今、
「ぼくの夢は小説家になることだったのに、
なんでオヤジの洋食屋なんかついでるんだよ!」
と思ってしまう。
無理も無い。
三十年の間に挫折もあり、諦めもあり、
それでも現実と向き合って選びとった人生。
でもその経過をすっとばしてしまったら、
納得なんてできるわけが無い。
仕事だけでは無い。
精神年齢の自分よりずっと歳上のおばさんが妻だという。
やっぱり年上にしか思えない男が息子だという。
失った三十年を失ったままに受け入れろと言われる。
一体何なんだと思うに決っている。
安西くんの気持ちの吐露を聞きながら、
ああ、真理子さんは本当に偉かったんだな、とつくづく思った。
そう、『SKIP』の真理子さんである。
彼女は安西くんと同じ葛藤を抱えていたはずだ。
職業こそ、自分の思うものに近かっただろうが、
夫のこと、娘のこと、受け入れるのは辛かったに決っている。
新田くんとのトキメキも捨てざるをえなくて、切なかったに決っている。
それでも凛として前に進んだ、美しい真理子さん。
この作品は彼女への、『SKIP』という作品へのオマージュなのだと気づき、
胸が熱くなった。
失ってしまった時間、失ってしまった人は取り戻せないのか?
記憶が戻るのは0.1パーセント。1000人に1人だという。
無理に思い出そうとすると、フラッシュバックが起こり、倒れてしまう。
絶望的に思えるが、それでも、やっぱり
忘れられない人のことは、絶対に忘れられないのだ。
ラスト。
途中から、ずっと、そうなのではないか、
そうだったらいいのにと思っていたことが
美しく再現され、思わず涙が溢れた。
大丈夫、仮に、私がこの謎の熱病に侵されて、
記憶を無くしてしまったとしても、あのことだけはちゃんと取り戻せる。
そんな安心感、自信がとても心地よい。
キャラメルボックスのお芝居は、いつも何かしらの答えをくれるのだ。
日々のなかでモヤモヤとして、形にさえなっていない悩みに。
だから元気になれるのだと思う。
今回も心地よく泣けて、明日からがんばろうと思えた。
感謝。
postscript:
終演後、クリアランスで本を買ったらなんと岡内さんが接客してくれました!
握手してもらったらホントに細くて驚き。
この体であのパワー。感動的だなぁー…
近くで見てもホントに美しかった。
実体化した真理子さんに会えたようで感激ひとしおでした。
ありがとうございました!
postscript2:
この記事の下書き、iPadのメモで作りました!
買っちゃいました…
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