渓嵐国泰山海紘宮

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August 03, 2009

劇団M.O.P.『リボルバー』@紀伊国屋劇場

 セミファイナルを迎えたM.O.P.、
 実は私は去年の『阿片と拳銃』に続いて二度目の観劇。
 もともと興味はあったものの、なかなか手が出なかったのだが
 『俺達は志士じゃない』の再々演でのマキノ氏の演出に惚れてしまい
 去年初めて観に行ったら、なんと3年で解散とのこと。
 しかも今年は岡田達也さまが客演と聞き、ちょこっと強行軍で観に行った。

 M.O.P.の代表作(らしい)『ピスケン』の
 リメイクだという『リボルバー』だが、
 時代設定が変わり、内容はだいぶ変わったとのこと。
 今回の舞台は、明治の始め。
 おなじみの幕末に活躍した人物が(名前だけも含めて)
 たくさん出て来る。
 桂小五郎に、坂本竜馬、大久保に西郷。
 しかし、物語は、彼らの作った新政府の強引な政策のもとで
 たくましく生きる市井の人々のものだ。
 横浜の外国人向けホテル青猫亭に強盗に入った男は
 旗本の四男坊で、御一新で食いっぱぐれた輩。
 それを咎めず、下働きに置いてしまうマダムは
 その昔、桂に頼まれて外国人武器商人の妾になった経験を持つ。
 そんなマダムの良人は元会津藩士。
 使用人達はみんな元武家の奥方連。
 時代に翻弄される、と言ってしまえば簡単だが、
 視点を民衆に移せば、それがどれだけ厳しいことかが見えてくる。
 地租改正で年貢が税へと代わり、その比率も何倍にも吊り上げられる。
 自由民権運動は、そんな官制の貧困の中から生まれたのだ。

 この芝居を観た日の朝、
 私は大阪でNPOもやい代表の湯浅誠氏の話を聞いていた。
 高生研の全国大会の分科会「『反貧困』の高校教育」である。
 現代日本で「貧困」ということばが使われるようになり、
 認識が生まれたのはつい最近のことで、
 その火付け役は間違いなく湯浅氏なのだけれど
 私が『リボルバー』を観ながらずっと思っていたのは、
 今の日本とこの時代と変わっていないのではないか、ということだった。
 いや、長い曲折を経て、それなりに変遷があったはずなのだが
 螺旋が回るように同じところで重なっているようなそんな感覚だ。
 政府が「国策」として民衆に無理を押しつけているのも変わらない。
 違うのは、それに必死で抗おうとした
 自由民権運動家がいないことかもしれない。

 湯浅さんの話のメインは 「活動家一丁あがり」という
 活動家を育てる特別講座の話だった。
 活動家というとマッチョで、自分の思想以外受け付けない
 ちょっと近づきたくない人というイメージだと思うが(その通り!)
 そんなんではなくて、週末活動家、とか
 余った時間活動家とか、思い立ったら活動家、っていうのが
 たくさん増えるといいという話である。
 確かに、お手軽気軽にちゃんと自分の意志で社会に関わるのは
 とても大切だと思う。
 私も実際、集会などに、参加できれば参加するように心がけている
 軟派な「活動家」であり、
 教師としては、機会あるごとに、
 押しつけにはならないように気を配りながら
 自分の意識を表明し続けている。
 こんなんでもいい、そういう人が増えればいいと言われると少し安心する。
 うちの母は結構バリバリな活動家で
 「あんたみたいなんじゃだめ!」と言われ続けたので
 なんだかやっても無駄なような、
 後ろめたさを感じるような嫌な気分だったのだ。
 やらないより、ちょっとでもやった方がまし。
 それが数多く積み重なる方が、一人の人間が多くやるより意味がある、
 そんなの当たり前な気もするが、湯浅さんのような人に言われると
 やっぱりほっとするのだった。

 話は『リボルバー』に戻るが、
 岡田さん演じる佐伯新太郎は、土佐出身で中江兆民門下の若き運動家。
 真っ直ぐで、常に真剣で、熱い思いに溢れた実に気持ちのいい青年だ。
 (客演での岡田さんは、キャラメルで最近多いダークオッカーとは違って
  こういう役が多くて、それもまた楽しみ。)
 佐伯新太郎が素敵なのは、世をすねている旗本四男坊の一馬に
 「君が願っているのは、社会変革だ。
  これは、僕が書き写した中江兆民先生の訳した
  フランスのジャン=ジャック・ルソーの『社会契約論』だ。
  僕にとっては宝物だが、貸してあげよう。是非読むといい。」
 なんて臆面もなく言っちゃうところである。
 もちろん最初はひどい拒否に合う。
 それでもめげない。しかも実に爽やかに誘い続ける。
 自分のやってることに迷いがない。
 そういうキャラには、勝てないのが道理。
 最後には獄死してしまう新太郎だが、
 その意志はきちんと一馬に引き継がれる。
 羨ましい。あの屈託のなさが欲しい(笑)

 M.O.P.のお楽しみのひとつはカーテンコールの大合奏。
 岡田さんもしっかり参加して
 今回もイカシタ演奏を聴かせてくれた。
 あんまり楽しかったので、DVDの予約までしてしまった(^^;;;
 そのおまけで北村有起哉くんと木下政治さんに握手してもらいました。
 (あとで達也さんのブログ見たら、
  物販出た日もあったんですね・・・残念(^^;;;)
 あと1回。来年はどんな演目かなぁ・・・

 あ、それからこの日は会場で西川さんの姿も拝見。
 余りのオーラに見つめてしまって、失礼してしまいました。
 鳩斉さんの中休みだったのですね。
 休演日も芝居漬けなのですね~

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雅俗共賞〜最近観た映画〜

  • 真珠の耳飾りの少女
    :
    光の変化を感じ取るものと、そうでないもの。それを人々は「芸術を解するか否か」と表現するのだけど要は感性の問題。美とか快とかいうものの一致こそが人を理解する根本を成すのだと思った。映像がもの凄くきれい。 (★★★)

音吐朗朗〜最近聴く音楽〜

  • 雪月花
    YUMING: WINGS OF WINTER,SHADES OF SUMMER 
     時に、出会いは偶然。4年も前に発売されたこのアルバムを、今日、このタイミングで初めて聴いたのも、偶然。十代の頃から、ユーミンの曲の「やさしさに包まれ」て、歌詞の鋭さに突かれて、何度も窮地を切り抜けてきた。今回も、きっと背中を押してくれるね。どんな状態になっても、私らしく、凛といること。そうきっと「悲しみにも時は流れ 海へと注いでいく」のだから。 (★★★★★)
  • 『愛と欲望の日々』&『Lonely Woman』
    サザンオールスターズ:
    『大奥』のようなドラマを軽やかにするのはサザンしかいないのかも。女の情念なんてハレルヤ!ってなもんかな。きらびやかなジャパネスク調のサザン(世は万葉あたりね)、実はかなり好き(^-^)『Lonely Woman』は秋冬のサザン。実はサザンは全天候型なのよ(笑)(桑田さんは雨男だけど) (★★★★)
  • 乙女ノックアウトナイト
    比屋定 篤子: ひやじょう
    久々発売の4thアルバムのお気に入りの曲。もう大分前からライヴでは歌われていたけど、毎回このテンポにくらくらでした(^-^)レコード会社の人からこの題名は・・・と言われたらしいけど、この題名あってこそ、だと思う。オザケンの『東京恋愛専科・または恋は言ってみりゃボディーブロー』を思わせますです。 (★★★★)
  • ミモザ
    ゴスペラーズ:
    最近、どれを聴いても同じに聴こえる(爆)新しい刺激が欲しいよぉ。でも、サビの黒ポンの声は良いね。あとCMの唐沢くんもね。 (★★)

錦心繍口〜最近読んだ本〜

  • J・K・ローリング: ハリーポッターと秘密の部屋
    ハリーポッターシリーズは、話題になってすぐに1作目を読んだのだけど、正直、あまり興味が持てず、そのままにしておいた。が、最近、生徒と面接の練習をしている時に「教育学部に行きたいと思ったのは、ハリーポッターシリーズのダンブルドア校長先生の影響があります」というのを聞いて、改めて読んでみようと思った。この巻でも、自分がスリザリンと関係深いのではないかと悩むハリーに、「大切なのは、どう生まれたではなく、何を選ぶかだ」と助言するところがいちばん心に染みた。なるほど、教育指南書として読むハリーポッターもありだな、とシリーズ読破を試みている。それにしてもロックハートは、ひどすぎる教師だ(笑)
  • 竹田 青嗣: 「自分」を生きるための思想入門
    思想とは、社会的には人間に「正しいこと」を教えるものではなく、社会の中で絶えず「より合理的な関係」を作り出していくための“技術”であり、実存的には、個々の人間が、自分の生全体から「より大きいエロス(生きる喜び)」を引き出すための有効な“技術”であるという主張には、目から鱗が落ちた。自分が目指す生き方のために、様々な思想家の思想をどう理解し、どう選び取るか。哲学とはかくも実用的なのかと感動した。さて、私は、何をえらべばいいのか。それこそ、自分でしか決められない実存的問題なのである。 (★★★★)
  • 鈴木 真砂女 ・黛 まどか : 恋がすべて
    新旧女流俳人対談集。鈴木 真砂女という名前は知っていたが、こんなにも壮絶な恋をした人だったとは・・・その激しさと、強さと、美しさに号泣。魂が惹かれあうというのは、きっとこういうことを言うのだろうな。そんな巡り会いがひとつあれば、人はしあわせなのだと思う。黛さんも、そういう恋が出来るといいですね(笑) (★★★★)
  • 小谷野 敦: モテない男
    ものすごく面白くて、旅行中に二日で読み終えて、友人に押し付けてきた(笑)「恨み言」的な体裁を取りながら、しっかり分析されているところが流石。「恋愛はしなくても生きていける」と提唱したいけど出来ないジレンマが面白かった。(なんて言ったら怒られるかも)私はやっぱり本居宣長派の恋愛至上主義です(^^; (★★★★)
  • 養老 孟司: バカの壁
    今更ですが(笑)これって、ベストセラーなんだよね?一昨年、日本でいちばん読まれた作品なんだよね?こういう「もっともなこと」の溢れた本がそんなに売れてるのに、こんなにどうしようもない社会なのは何故なんだろう?(^^;「個性」についての考え方など、とてもわかりやすくて的確だと思いました。 (★★★★)
  • 瀬尾 まいこ: 図書館の神様
    文学音痴のでもしか国語教師が主人公。結構いるんだよね、実は(爆)私、もの凄く苦手なんだけど(爆)でも、まぁ、現代的には響きやすい話なのかもしれない。これをきっかけに漱石や周五郎を読む人が出れば、それはそれで良いのでしょう(^^; (★★★)
  • 小谷野 敦: 性と愛の日本語講座
    近現代文学における性愛に関係する言葉を、まじめに調べた一冊。下世話に思える言葉であろうと、いくつもの出典に当たって読み解いて行く作業はまさに国文学。大学でやってたことを思い出して楽しかった(^-^) (★★★★)

気韻生動〜最近観た舞台〜

  • Dr.TV
    福澤一座:
    福澤一座の第二回公演。言葉とテレビにこだわったこの作品群は、これからも小さなエピソードを繋いでいく形なのかな?正直言って、去年の方が面白かったなぁ(^-^;)しかし、森圭介アナはやっぱり好み(^^;一瞬「畑中くん?」と思う部分があって、やっぱり好きなタイプが似ていることが判明。結局ショタコンか(爆) (★★★)
  • SHIROH
    劇団☆新感線:
    歌うような台詞、とよく言うが、歌がきちんと台詞になっていることに感動。上川さんはとても歌が上手いと言う訳ではないのだが、すごくまっすぐに体に染みてくるのだ。『マイ・フェア・レディ』の レックス・ハリスンみたい。もう一人のシロウ、中川くんはもの凄く歌がうまかった。そして、ロック。それから迫力の群舞。すごい。少しは見習え<『クラ○ディア』(爆) (★★★★)
  • 『スキップ』
    演劇集団キャラメルボックス: タイムトラベルシアターVol.1
    都合三回鑑賞。一度目は現在の自分に重ね合わせて観てしまって号泣。二度目は少し冷静になり、自分が頭の中でだいぶ補って見ていること気付く。それでも、告白されると泣いてしまう(;_;)3度目の千秋楽は、坂口さんの熱演にまた引き込まれ、クライマックスでやっぱり涙を禁じ得ない。とにかくさわやかに泣けた。演劇としての構成の問題などはあるのだろうけど、小説も含めて十二分に『スキップ』の世界を堪能できたことに感謝。 (★★★★)
  • 沖縄ラーメンズライヴ
    ラーメンズ:
    『沖縄ラーメンズライヴ  サーターアンダギーは見かけのシンプルさの割に名前が長過ぎ  A&Wは貴方と私の略。  ラーメンズにとって沖縄が楽園になるかどうかは客次第』 やっぱり頭の良い人の考えることは面白い。 (★★★★)
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