渓嵐国泰山海紘宮

Recent Trackbacks

« September 2008 | Main | November 2008 »

October 2008

October 31, 2008

『こころ』な日々~上の五

 うちで使っている教科書では、
 下の三十六からしか載っていない。
 そして、下の四十八で終わりだ。
 これでは、『こころ』の醍醐味は味わえないだろうと、
 他の教科書から上の五~七と
 下の五十四~五十六も引っ張ってきた。
 
 上に関しては私が発表形式で授業し、
 教科書掲載部分から後は、
 生徒に発表してもらうことにしたのだが、
 そのやりとりの中で、深まった読みについて紹介したい。

 まずは、上の五。
 二度尋ねて、二度とも留守だった先生を追って、
 私が雑司ヶ谷の墓地に行く場面。

 質問の仕方を体得してもらうために、
 先生が、まるで次の墓参に誘うかのように銀杏の話をする部分と
 私に「誰の墓か」と聞かれた後、一丁ほど歩いてから答える部分を
 わざと抜いてレジュメを作った。
 
 三人寄れば文殊の知恵。
 四十人集まれば、何でも出来る(笑)
 私の穴はさくっと埋めて、さらに、こんな指摘が・・・

 「向こうの方で凸凹の地面をならして新墓地を作っている男が、
  鍬の手を休めて私たちを見ていた。」というのは、
 今まで毎月一人で来ていた先生が、人と連れ立っているから
 珍しくて、見ていたのではないか。
  ↓つまり
 先生が本当に長い間、一人で墓参を続けていたこと、
 先生の孤独を感じさせる表現になっている。

 指摘されて、なるほどと思った。
 普通に読んでいたら読み飛ばしてしまうところだ。
 丁寧に時間をかけて、みんなで読んだが故に見つけた表現。
 こう言うのを見つけると、ほんとにどきどきする。
 そして、こんな楽しみをしかけてくれている文豪に感謝。
 
 

『こころ』な日々~イントロダクション

 教員生活十数年目にして、
 初めて、夏目漱石の『こころ』の授業に挑むことになった。
 『山月記』の時に「くどい」と言われた胸の傷が痛むので
 それより長い『こころ』をどうしようかと思い悩んだ。
 
 ・・・そこで、思い出したのが、
 前に友人から聞いた発表形式の授業。
 何人かのグループに、段落ごとにレジュメを作らせて
 発表させる形式で進めたという話だ。
 
 うちの生徒たちの状況と照らし合わせて、以下の方法を考えた。
 基本3人のグループで「構成」「語句」「気になる表現」を
 取り上げたレジュメを作成する。
 発表班以外の2班を質問班とし、発表段落に関する質問をしてもらう。
 質問が読みを深めるのに不十分な場合には、
 他の班にも呼びかけて、質問を募る。
 それらの疑問を、発表班を中心に解決し、その中から「論点」を決め、
 読みを深める。
 最後に、この段落に関しての感想と、発表者・質問者への評価をまとめる。

 最初の2時間は、私がレジュメを作り模擬発表することで、
 質問の作り方と、討論の仕方をシミュレートした。
 ちゃんと話し合えるのか心配だったのだが、
 3人グループでの班討論と、全体討論の二重討論形式が功を奏し、
 想像以上に活発な話し合いが出来た。
 気心の知れた3人の仲間になら、思ったことが言えるし、
 そこで承認されれば、全体に発言する勇気も湧く。
 私のクラスでは、みんなが一斉に手を挙げてしまい、
 指名順を争ってじゃんけんするほど活気を呈している。

 今回、『こころ』を読み直して、
 学生の頃には感じなかった深みを憶えた。
 初めて、漱石の凄まじさを感じた気がした。
 学生の頃の私は、正直、漱石の良さを
 それほど感じられなかったのだ。
 教えるに当たり、注釈書を何冊も読んだということもあるが、
 もっと大きいのは、たとえば、『こころ』の「先生」のような
 罪の意識や、悲しみの深淵や、寂しさを
 私自身が、程度の差はあれ、体得したからなのだろうと思う。
 学生時代の私には、漱石の書く人間が、
 実在のものとはかけ離れているように思えたが、
 今読むと、とてもリアルに感じられる。
 これが、齢を重ねることなのだと、しみじみと思っている。

 私の半分も生きていない高校2年生が、
 この作品をどう読み解くのか。
 その読みを深めるのに、私がどれだけうまく「先達」になれるのか。
 
 一方、こういった形式の授業の醍醐味は、
 私が思いもしなかった読みを、生徒が提示してくれることだ。
 ポイントを漏らさないために、生徒が発表する部分も
 自分でレジュメを作って望むのだが、
 そこに取り上げなかった、あるいは、私が読んだのよりも
 さらに深い読みが出てきたときには、
 鳥肌が立つほどの感動を覚える。
 私自身も、漱石と出会い直す楽しみが感じられるのだ。

 学びあい、学び深める。
 そんな『こころ』な日々を、しばらく楽しもう。
 

 
 

October 28, 2008

リベンジ

 進学校である本校では、本日は、
 秋なのに送別球技大会。
 
 今回は、男子バレー・女子バレー・男女混合バレーに
 男女混合ハンドボールの4種目に分かれ、
 市民体育館で行った。
 
 新歓球技大会では、花形競技・男女混合バレーで
 準優勝だった2年1組。
 今回は、絶対優勝すると、
 1月半前から、週末も集まって練習していた。
 HR長がとても熱心で、頑張って企画するのだが
 本来、前に出て仕切るタイプではなく、
 横から茶々を入れる方が好きなお調子者なので
 「自分が練習したいだけ」という感じが
 あふれ出てしまって、
 当初はあまりクラスとして動く感じにはなっていなかった。
 親友の副HR長も「HR長は、(自分の出る)
 バレーのことばっかり考えてて心配」だと漏らしていたので、
 私はずっと彼と「みんなを気持ちよくいさせるリーダーのあり方」に
 ついて話してきた。
 打ち上げの方法一つとっても
 「焼き肉にするから、みんな二千円くらい用意してね」などと
 いきなりSHRで言い出すので
 「予算と、食べたいものと、場所をちゃんとアンケートで確認すること」を
 要求し、その結果、結局那覇で焼き肉、なった。
 しかし、初めは「高い」「場所が・・・」と少し不満そうだった輩も、
 アンケート結果を見て納得してくれ、最終的に39人中36人が参加できた。

 学級通信に練習計画を載せ、頑張ってきた結果、
 本日、男女混合バレー、見事優勝!
 他の競技は予選敗退だったものの、
 みんなそれぞれに自分の成長や、
 仲間との大切な時間の共有を感じられた有意義な一日だったことが、
 打ち上げの中で各競技の代表者が語り、
 MVPに選ばれた選手たちが語った計10人のスピーチに感じられた。

 「3年も、このままのクラスでいきたい」と何人もが言ってくれて、
 担任としては、感無量。
 応援で、手を叩きすぎて、左手の親指が変色して、
 ちょっと痛いのもご愛敬(爆)
 とにもかくにも・・・今日のMVPは、初戦で同点の時に
 黄金の神の手でチョキを出し、HR長!
 この大会はやっぱり君のものだったね(^-^*)
 
 

October 09, 2008

HRノート

 ウチのクラスは、学級日誌ではなくHRノート制。
 1冊の大学ノートに、好きなことを書いていい。
 これでいろいろ交流が生まれれば、と思っているのだけど
 なかなか思うようにはいかない。
 少し前は、麻生総理誕生を受けて、
 少し政治的な話しもあったので、たきつけてみたけど
 あっという間に立ち消え(笑)
 まぁ、仕方がないか、と思っていたのだが、
 今日は、また、素敵な日記が・・・

 アラームを、好きなアーティストの曲にしたら
 気持ちよくって寝坊してしまった。
 へこんだ気持ちでモノレールに乗ったら、
 首里城の上に大きな虹がかかっていて、幸せになった。
 それに、数学の時間にトイレに行ったら、
 鳥のさえずりが聞こえて、嬉しくなった。

 遅刻したり、授業中にトイレに行っていたり
 さんざんなのだけど(笑)
 自然の美しさに心を響かせて
 幸せになってる彼女が、すごく可愛いなぁ、と思って。
 この心のみずみずしさに、ちょっと感動。

 ちなみに、彼女の好きなアーティストは
 RADWIMPSだそうで、
 私は、名前を初めて聞いた気がしたのだけど
 ネット検索して視聴したら、聞いたことのある声でした。
 なかなかメロディアスだし、
 彼女の言うとおり、歌詞が素敵で。
 『オーダーメイド』っていい曲だね。
 明日、CD貸してって頼んじゃうかも(笑)

 ・・・でも最近の子は、ダウンロードで買ってるから
 ブツは無かったりするんだよね(^^;;;

« September 2008 | Main | November 2008 »

July 2015
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

雅俗共賞〜最近観た映画〜

  • 真珠の耳飾りの少女
    :
    光の変化を感じ取るものと、そうでないもの。それを人々は「芸術を解するか否か」と表現するのだけど要は感性の問題。美とか快とかいうものの一致こそが人を理解する根本を成すのだと思った。映像がもの凄くきれい。 (★★★)

音吐朗朗〜最近聴く音楽〜

  • 雪月花
    YUMING: WINGS OF WINTER,SHADES OF SUMMER 
     時に、出会いは偶然。4年も前に発売されたこのアルバムを、今日、このタイミングで初めて聴いたのも、偶然。十代の頃から、ユーミンの曲の「やさしさに包まれ」て、歌詞の鋭さに突かれて、何度も窮地を切り抜けてきた。今回も、きっと背中を押してくれるね。どんな状態になっても、私らしく、凛といること。そうきっと「悲しみにも時は流れ 海へと注いでいく」のだから。 (★★★★★)
  • 『愛と欲望の日々』&『Lonely Woman』
    サザンオールスターズ:
    『大奥』のようなドラマを軽やかにするのはサザンしかいないのかも。女の情念なんてハレルヤ!ってなもんかな。きらびやかなジャパネスク調のサザン(世は万葉あたりね)、実はかなり好き(^-^)『Lonely Woman』は秋冬のサザン。実はサザンは全天候型なのよ(笑)(桑田さんは雨男だけど) (★★★★)
  • 乙女ノックアウトナイト
    比屋定 篤子: ひやじょう
    久々発売の4thアルバムのお気に入りの曲。もう大分前からライヴでは歌われていたけど、毎回このテンポにくらくらでした(^-^)レコード会社の人からこの題名は・・・と言われたらしいけど、この題名あってこそ、だと思う。オザケンの『東京恋愛専科・または恋は言ってみりゃボディーブロー』を思わせますです。 (★★★★)
  • ミモザ
    ゴスペラーズ:
    最近、どれを聴いても同じに聴こえる(爆)新しい刺激が欲しいよぉ。でも、サビの黒ポンの声は良いね。あとCMの唐沢くんもね。 (★★)

錦心繍口〜最近読んだ本〜

  • J・K・ローリング: ハリーポッターと秘密の部屋
    ハリーポッターシリーズは、話題になってすぐに1作目を読んだのだけど、正直、あまり興味が持てず、そのままにしておいた。が、最近、生徒と面接の練習をしている時に「教育学部に行きたいと思ったのは、ハリーポッターシリーズのダンブルドア校長先生の影響があります」というのを聞いて、改めて読んでみようと思った。この巻でも、自分がスリザリンと関係深いのではないかと悩むハリーに、「大切なのは、どう生まれたではなく、何を選ぶかだ」と助言するところがいちばん心に染みた。なるほど、教育指南書として読むハリーポッターもありだな、とシリーズ読破を試みている。それにしてもロックハートは、ひどすぎる教師だ(笑)
  • 竹田 青嗣: 「自分」を生きるための思想入門
    思想とは、社会的には人間に「正しいこと」を教えるものではなく、社会の中で絶えず「より合理的な関係」を作り出していくための“技術”であり、実存的には、個々の人間が、自分の生全体から「より大きいエロス(生きる喜び)」を引き出すための有効な“技術”であるという主張には、目から鱗が落ちた。自分が目指す生き方のために、様々な思想家の思想をどう理解し、どう選び取るか。哲学とはかくも実用的なのかと感動した。さて、私は、何をえらべばいいのか。それこそ、自分でしか決められない実存的問題なのである。 (★★★★)
  • 鈴木 真砂女 ・黛 まどか : 恋がすべて
    新旧女流俳人対談集。鈴木 真砂女という名前は知っていたが、こんなにも壮絶な恋をした人だったとは・・・その激しさと、強さと、美しさに号泣。魂が惹かれあうというのは、きっとこういうことを言うのだろうな。そんな巡り会いがひとつあれば、人はしあわせなのだと思う。黛さんも、そういう恋が出来るといいですね(笑) (★★★★)
  • 小谷野 敦: モテない男
    ものすごく面白くて、旅行中に二日で読み終えて、友人に押し付けてきた(笑)「恨み言」的な体裁を取りながら、しっかり分析されているところが流石。「恋愛はしなくても生きていける」と提唱したいけど出来ないジレンマが面白かった。(なんて言ったら怒られるかも)私はやっぱり本居宣長派の恋愛至上主義です(^^; (★★★★)
  • 養老 孟司: バカの壁
    今更ですが(笑)これって、ベストセラーなんだよね?一昨年、日本でいちばん読まれた作品なんだよね?こういう「もっともなこと」の溢れた本がそんなに売れてるのに、こんなにどうしようもない社会なのは何故なんだろう?(^^;「個性」についての考え方など、とてもわかりやすくて的確だと思いました。 (★★★★)
  • 瀬尾 まいこ: 図書館の神様
    文学音痴のでもしか国語教師が主人公。結構いるんだよね、実は(爆)私、もの凄く苦手なんだけど(爆)でも、まぁ、現代的には響きやすい話なのかもしれない。これをきっかけに漱石や周五郎を読む人が出れば、それはそれで良いのでしょう(^^; (★★★)
  • 小谷野 敦: 性と愛の日本語講座
    近現代文学における性愛に関係する言葉を、まじめに調べた一冊。下世話に思える言葉であろうと、いくつもの出典に当たって読み解いて行く作業はまさに国文学。大学でやってたことを思い出して楽しかった(^-^) (★★★★)

気韻生動〜最近観た舞台〜

  • Dr.TV
    福澤一座:
    福澤一座の第二回公演。言葉とテレビにこだわったこの作品群は、これからも小さなエピソードを繋いでいく形なのかな?正直言って、去年の方が面白かったなぁ(^-^;)しかし、森圭介アナはやっぱり好み(^^;一瞬「畑中くん?」と思う部分があって、やっぱり好きなタイプが似ていることが判明。結局ショタコンか(爆) (★★★)
  • SHIROH
    劇団☆新感線:
    歌うような台詞、とよく言うが、歌がきちんと台詞になっていることに感動。上川さんはとても歌が上手いと言う訳ではないのだが、すごくまっすぐに体に染みてくるのだ。『マイ・フェア・レディ』の レックス・ハリスンみたい。もう一人のシロウ、中川くんはもの凄く歌がうまかった。そして、ロック。それから迫力の群舞。すごい。少しは見習え<『クラ○ディア』(爆) (★★★★)
  • 『スキップ』
    演劇集団キャラメルボックス: タイムトラベルシアターVol.1
    都合三回鑑賞。一度目は現在の自分に重ね合わせて観てしまって号泣。二度目は少し冷静になり、自分が頭の中でだいぶ補って見ていること気付く。それでも、告白されると泣いてしまう(;_;)3度目の千秋楽は、坂口さんの熱演にまた引き込まれ、クライマックスでやっぱり涙を禁じ得ない。とにかくさわやかに泣けた。演劇としての構成の問題などはあるのだろうけど、小説も含めて十二分に『スキップ』の世界を堪能できたことに感謝。 (★★★★)
  • 沖縄ラーメンズライヴ
    ラーメンズ:
    『沖縄ラーメンズライヴ  サーターアンダギーは見かけのシンプルさの割に名前が長過ぎ  A&Wは貴方と私の略。  ラーメンズにとって沖縄が楽園になるかどうかは客次第』 やっぱり頭の良い人の考えることは面白い。 (★★★★)
無料ブログはココログ