渓嵐国泰山海紘宮

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June 30, 2008

水平線の歩き方

 新作。
 久しぶりに、気持ちよく泣けた。

 思い切りネタバレします。
 お気をつけて。

 キャラメルには本当に素敵な役者さんが多いけれど
 やっぱりW岡田はすごいなぁ、と思う一作だった。
 
 
 中央に配した幸一(オカタツさん)の部屋は、
 キャラメルには珍しく、他の場所として描かれることはなく、
 それ以外の場面は、周りの空間で演じられる。
 真ん中の部屋には、ずっと、幸一の亡き母である
 アサミ(ももこさん)がいて、
 ポテチやら柿の種やら魚肉ソーセージを食べている(笑)
 ・・・だけではなく、物思いにふけっている。
 
 幸一が12歳の時に他界したアサミは、
 何故だか、23年後の幸一の部屋を訪れて
 自分が死んでからの息子の生活について話を聞く。
 幸一は、高校で始めたラグビーに打ち込み、
 社会人選手として活躍していたが、
 膝をケガして、選手生命の危機を迎える。

 スポーツ選手にとって、ケガや引退を向き合うのは
 とても、辛く、そして避けられないことだ。
 たまたま、今日、桑田真澄投手が
 出演している番組を観た。
 幸一の気持ちが滲み出るように感じられた。
 プロになるということは、専一にそれだけを
 追い求めると言うことだと思われている。
 でも、人生は、それだけではうまくいかない。
 私の師とする人がよく言うのだけど
 子どもを一元的に育ててはいけない、のだ。
 その子が豊かに生きるためには
 いろいろな道や手立てがあった方がいい。

 でも、プロスポーツ選手や
 芸術家の偉業は、そんな「片手間」では
 成し遂げられないのかも知れない。
 「プロフェッショナル」に登場する人々も
 ほとんど、「専一集中」な感じだ。
 
 人生は難しいと思う。
 ひとつのことに身を捧げて、
 それがとてつもなく幸せに感じることもある。
 でも、それを無くしたときには
 どうしようもなく虚脱感を感じる。
 生きていけなくなるほどに。
 だから、他の道があった方がいい。
 だけど、他のことなど、どうでも良く思えるほど
 夢中になることに出逢ってしまったら・・・
 別の道を考える必要も感じず、
 それを思う余裕さえなくなってしまう。

 この芝居が面白いのは、
 そんな幸一を包む視線としての
 アサミという存在だ。
 先に書いたように、ずっと舞台上で
 思いを馳せている。
 私は、しゃべってる人ばかり観る癖があるのだが、
 今回は、極力、ももこさんを観ることに注意を払った。
 懸命すぎる生き方をしている息子を
 早逝した母は、どんな気持ちで見守ってるのか。
 その思いに心を重ねたかった。

 「好きになった人が去っていくのは辛すぎるから
  一人で走るラグビーをしてきた」という
 幸一の告白に、涙がこぼれた。
 痛いほどわかる。
 なのに、私は、パスするのが好きで
 しつこく投げすぎて、相手を疲れさせてしまうのだ。
 高校生の頃からぜんぜん成長していないなと
 なんだか切なくなってしまった。
 ホントは、上手にパスを受けられるように
 なりたいのだけど、
 余裕がないんだよなぁ・・・
 これもずぅっとそうなのかなぁ・・・

 とりとめなくなってしまったけれど、
 正直に言うと、あと2~3回観ないと、
 うまくまとめられない気がする。
 たくさんの思いが交錯していて
 どこに焦点を当てるかで、見方が変わる作品なのだ。
 
 神戸か名古屋に行ってしまいたい衝動と
 静かに戦ってるところです。
 お近くにお住まいの方は是非。
 こっちだけでも楽しめますが、
 2本観ると味わい深いです。
 (その際は、ぜひ、水平線をあとにしてね。)
 
 
  
 
 

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雅俗共賞〜最近観た映画〜

  • 真珠の耳飾りの少女
    :
    光の変化を感じ取るものと、そうでないもの。それを人々は「芸術を解するか否か」と表現するのだけど要は感性の問題。美とか快とかいうものの一致こそが人を理解する根本を成すのだと思った。映像がもの凄くきれい。 (★★★)

音吐朗朗〜最近聴く音楽〜

  • 雪月花
    YUMING: WINGS OF WINTER,SHADES OF SUMMER 
     時に、出会いは偶然。4年も前に発売されたこのアルバムを、今日、このタイミングで初めて聴いたのも、偶然。十代の頃から、ユーミンの曲の「やさしさに包まれ」て、歌詞の鋭さに突かれて、何度も窮地を切り抜けてきた。今回も、きっと背中を押してくれるね。どんな状態になっても、私らしく、凛といること。そうきっと「悲しみにも時は流れ 海へと注いでいく」のだから。 (★★★★★)
  • 『愛と欲望の日々』&『Lonely Woman』
    サザンオールスターズ:
    『大奥』のようなドラマを軽やかにするのはサザンしかいないのかも。女の情念なんてハレルヤ!ってなもんかな。きらびやかなジャパネスク調のサザン(世は万葉あたりね)、実はかなり好き(^-^)『Lonely Woman』は秋冬のサザン。実はサザンは全天候型なのよ(笑)(桑田さんは雨男だけど) (★★★★)
  • 乙女ノックアウトナイト
    比屋定 篤子: ひやじょう
    久々発売の4thアルバムのお気に入りの曲。もう大分前からライヴでは歌われていたけど、毎回このテンポにくらくらでした(^-^)レコード会社の人からこの題名は・・・と言われたらしいけど、この題名あってこそ、だと思う。オザケンの『東京恋愛専科・または恋は言ってみりゃボディーブロー』を思わせますです。 (★★★★)
  • ミモザ
    ゴスペラーズ:
    最近、どれを聴いても同じに聴こえる(爆)新しい刺激が欲しいよぉ。でも、サビの黒ポンの声は良いね。あとCMの唐沢くんもね。 (★★)

錦心繍口〜最近読んだ本〜

  • J・K・ローリング: ハリーポッターと秘密の部屋
    ハリーポッターシリーズは、話題になってすぐに1作目を読んだのだけど、正直、あまり興味が持てず、そのままにしておいた。が、最近、生徒と面接の練習をしている時に「教育学部に行きたいと思ったのは、ハリーポッターシリーズのダンブルドア校長先生の影響があります」というのを聞いて、改めて読んでみようと思った。この巻でも、自分がスリザリンと関係深いのではないかと悩むハリーに、「大切なのは、どう生まれたではなく、何を選ぶかだ」と助言するところがいちばん心に染みた。なるほど、教育指南書として読むハリーポッターもありだな、とシリーズ読破を試みている。それにしてもロックハートは、ひどすぎる教師だ(笑)
  • 竹田 青嗣: 「自分」を生きるための思想入門
    思想とは、社会的には人間に「正しいこと」を教えるものではなく、社会の中で絶えず「より合理的な関係」を作り出していくための“技術”であり、実存的には、個々の人間が、自分の生全体から「より大きいエロス(生きる喜び)」を引き出すための有効な“技術”であるという主張には、目から鱗が落ちた。自分が目指す生き方のために、様々な思想家の思想をどう理解し、どう選び取るか。哲学とはかくも実用的なのかと感動した。さて、私は、何をえらべばいいのか。それこそ、自分でしか決められない実存的問題なのである。 (★★★★)
  • 鈴木 真砂女 ・黛 まどか : 恋がすべて
    新旧女流俳人対談集。鈴木 真砂女という名前は知っていたが、こんなにも壮絶な恋をした人だったとは・・・その激しさと、強さと、美しさに号泣。魂が惹かれあうというのは、きっとこういうことを言うのだろうな。そんな巡り会いがひとつあれば、人はしあわせなのだと思う。黛さんも、そういう恋が出来るといいですね(笑) (★★★★)
  • 小谷野 敦: モテない男
    ものすごく面白くて、旅行中に二日で読み終えて、友人に押し付けてきた(笑)「恨み言」的な体裁を取りながら、しっかり分析されているところが流石。「恋愛はしなくても生きていける」と提唱したいけど出来ないジレンマが面白かった。(なんて言ったら怒られるかも)私はやっぱり本居宣長派の恋愛至上主義です(^^; (★★★★)
  • 養老 孟司: バカの壁
    今更ですが(笑)これって、ベストセラーなんだよね?一昨年、日本でいちばん読まれた作品なんだよね?こういう「もっともなこと」の溢れた本がそんなに売れてるのに、こんなにどうしようもない社会なのは何故なんだろう?(^^;「個性」についての考え方など、とてもわかりやすくて的確だと思いました。 (★★★★)
  • 瀬尾 まいこ: 図書館の神様
    文学音痴のでもしか国語教師が主人公。結構いるんだよね、実は(爆)私、もの凄く苦手なんだけど(爆)でも、まぁ、現代的には響きやすい話なのかもしれない。これをきっかけに漱石や周五郎を読む人が出れば、それはそれで良いのでしょう(^^; (★★★)
  • 小谷野 敦: 性と愛の日本語講座
    近現代文学における性愛に関係する言葉を、まじめに調べた一冊。下世話に思える言葉であろうと、いくつもの出典に当たって読み解いて行く作業はまさに国文学。大学でやってたことを思い出して楽しかった(^-^) (★★★★)

気韻生動〜最近観た舞台〜

  • Dr.TV
    福澤一座:
    福澤一座の第二回公演。言葉とテレビにこだわったこの作品群は、これからも小さなエピソードを繋いでいく形なのかな?正直言って、去年の方が面白かったなぁ(^-^;)しかし、森圭介アナはやっぱり好み(^^;一瞬「畑中くん?」と思う部分があって、やっぱり好きなタイプが似ていることが判明。結局ショタコンか(爆) (★★★)
  • SHIROH
    劇団☆新感線:
    歌うような台詞、とよく言うが、歌がきちんと台詞になっていることに感動。上川さんはとても歌が上手いと言う訳ではないのだが、すごくまっすぐに体に染みてくるのだ。『マイ・フェア・レディ』の レックス・ハリスンみたい。もう一人のシロウ、中川くんはもの凄く歌がうまかった。そして、ロック。それから迫力の群舞。すごい。少しは見習え<『クラ○ディア』(爆) (★★★★)
  • 『スキップ』
    演劇集団キャラメルボックス: タイムトラベルシアターVol.1
    都合三回鑑賞。一度目は現在の自分に重ね合わせて観てしまって号泣。二度目は少し冷静になり、自分が頭の中でだいぶ補って見ていること気付く。それでも、告白されると泣いてしまう(;_;)3度目の千秋楽は、坂口さんの熱演にまた引き込まれ、クライマックスでやっぱり涙を禁じ得ない。とにかくさわやかに泣けた。演劇としての構成の問題などはあるのだろうけど、小説も含めて十二分に『スキップ』の世界を堪能できたことに感謝。 (★★★★)
  • 沖縄ラーメンズライヴ
    ラーメンズ:
    『沖縄ラーメンズライヴ  サーターアンダギーは見かけのシンプルさの割に名前が長過ぎ  A&Wは貴方と私の略。  ラーメンズにとって沖縄が楽園になるかどうかは客次第』 やっぱり頭の良い人の考えることは面白い。 (★★★★)
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