ことば あふれ出る教室~横浜市立盲学校~
司書教諭研修で、いろんな映像が紹介される。
今日のヒットは、NHKのにっぽんの現場で
5月に放映されたらしい横浜市立盲学校の様子。
初めて知ったのだが、点字には漢字がないそうで、「音」しか分からないため、
視覚障害のある子どもたちは、理解に時間がかかるのだそうだ。
そこで、道村静江先生は、小学校4~6年生の教室で
小学生が習う漢字1006字を学べる教材を作り、
習得を目指している。
その漢字の学習の様子は、理想の授業に見えた。
「馬」という字を学ぶとき、その字形を口で説明していく。
「縦線に横線三本・・・」と、すっかり覚えているのか、
すらすらと口にする男の子。
それを受けて、字形の意味をみんなで読み解く。
右に三本開いている線は鬣。
下の四つの点は足。じゃあ、足を包むような右のはねは?
・・・そう、しっぽ。
「馬のしっぽはすごく長くてさらさらなんだよ」と
説明する道村先生。
「ほらこれ、触ってみて」とポニーテールにした女の子の
髪をみんなにさわらせる。
「すごい!気持ちいい!」「かっこいいね」と
驚きを口にする生徒たち。
一つ一つの文字を、こんな風に体感しながら
まさに「身につけて」いくのだ。
この番組のナレーションは、最上級生の優里菜さんが担当している。
堂々とした発音のすごくきれいな朗読。
本を読むのが大好きだという彼女は、漢字を手に入れたことで
いろいろなものが理解できるようになり、
パソコンの音声機能を使って正しく字を選べるようになったっと
嬉しそうに語っていた。
卒業を控えた彼女は、下級生より一足早く1006字を習得した。
それは大変な努力を要したようで「道村先生が恐いからさ、
頑張らざるを得ないんだよ」と言っていたが、
「恐い?そんなに恐かった?」と道村先生に聞かれると
「いや、ちゃんとやらない私が悪いんだけど」と明るく話す。
最近よくある感じに、表面を取り繕って
「こう言った方がいい」と思っているという風ではない。
本気で「この学びは自分のためだ」とわかっている感じだ。
未熟児で生まれて、声帯が一つ使えない生徒も、
発声指導について、同じようなコメントをし、
自ら、声を出せるようにと腹筋をしていた。
ここには、「自分が豊かに生きていく上で
身につけなければならないものを学んでいるのだ」という
強い意識が感じられた。
道村先生の口癖は「できないじゃない、やるの」だそうだ。
とても厳しい言葉だが、これが出来なければ、
生きていくのに困るのだ、
だから出来るようになって欲しいのだ、
という気持ちは生徒たちにしっかり伝わっている。
そして実際、学校での学びが、彼らをの生活を豊かにし、
それを彼ら自身がいちばん実感しているのである。
これこそ、教育の理想の姿ではないか。
学ぶことは厳しくて辛い、
でもいろんな事が出来るようになっていくのは、
楽しいし嬉しい。
そんな学びの本質を感じさせられる授業を
どれだけしているか、考えさせられてしまった。
大縄飛びや、狂言にも彼らは挑戦していた。
優里菜さんの卒業式には、
みんなが今の気持ちを漢字の音読みで伝え合っていた。
今の気持ちは「ジャク」・・・そう寂しい。
でも、「コウ」・・・「好きって意味?」と聞く子もいたけど
優里菜さんが言ったのは「幸」。
みんな「ジャク!」「コウ!」と叫びながら別れを惜しんでいた。
明るくて、楽しげで、にこにこして。
目が見えないのに、ではなく、
目が見えないからこそ生まれた「幸」がそこには生まれていた。
子どもを取り巻く環境は、私たちには変えられない。
だから、彼らのいる生活環境の中で、
豊かに生きられるスキルを身につけられるように工夫すること、
それこそが私たちの大切な仕事なのだと痛感した。
すばらしい実践だった。
・・・ただ、何故司書教諭研でこれを見た理由はわからない(爆)
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